コラム
歯周病は治る?治療の流れと必要性
健康番組やCMなどでも目にすることが多くなった「歯周病」。
厚生労働省の統計調査では歯周病の患者数は増加傾向を示しており、55歳以上の歯を抜く原因疾患の半分は歯周病が占めています。
そんな歯周病は治療をすれば治る病気なのでしょうか?
そこで今回は、気になる歯周病治療の流れと必要性について解説します。
歯周病は治るの?
歯周病は治るのかと聞かれたら、残念ながらその答えはNOです。
歯周病は基本的に治りません。
しかし、この場合の「治らない」というのは、「病気になる前の状態に完全に戻すことは難しい」という意味になります。
つまり、歯周病になる前の状態には戻せないけれど、適切な治療を行うことで、歯周病の進行を食い止め、健康な状態に近づけることは可能です。
そして、歯を健康な状態に戻すためには、歯科医院での適切な歯周病治療とセルフケアを継続的に行う必要があります。
歯周病の診断と検査
正しく歯周病と診断するためには、いくつか検査が必要です。
ここでは、歯周病の診断前に受ける検査について解説します。
歯周ポケット検査
歯周病は進行するほど、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯ぐきの間の溝が深くなっていきます。
そこで、歯科医院では歯周ポケットにプローブという器具を挿入して深さを測る「歯周ポケット検査」を行うことで、歯周病の進行度合いを把握します。
レントゲン検査
歯周病が進行するとあごの骨が溶かされていきます。
したがって、歯周病の進行度合いを把握するため、「レントゲン検査」であごの骨がどのくらい溶かされているのかを確認します。
動揺度検査
歯周病が進行するとあごの骨が溶かされるため、次第に歯がグラグラするようになります。
したがって、歯の揺れ具合を測る「動揺度検査」を行い、歯周病の進行度合いを確認します。
実は、健康な歯も生理的にわずかに動くようになっていますが、歯周病が進行すると歯を支えているあごの骨が溶けてしまうため、その動揺度が通常よりも大きくなるのです。
歯の動揺度は一般的に4段階で評価され、数字が大きくなるほど歯周病が進行していることを意味します。
歯周病の基本治療
歯周病には病気の進行度によって、基本治療と外科治療の2つの方法があります。
まずは、基本治療についてご紹介します。
プラークコントロール
歯周病の原因となる歯垢(プラーク)を除去するプラークコントロールが、歯周病の基本治療の柱です。
しかし、歯垢の除去は基本的に自宅でのセルフチェックが主になるため、毎日のブラッシングを効果的なものにするため、歯科医院で正しいブラッシングの方法を指導してもらうことが重要になります。
ブラッシング指導は1回受ければ終わりではなく、定期的な通院時の歯の状態を見ながら、改善点があれば再指導を受けます。
繰り返し指導を受けることで、理想的な方法で毎日ブラッシングをすることが、プラークコントロールの目標です。
スケーリング
歯周病治療では、歯周病の直接的な原因であるプラークと、間接的な原因である歯石を取り除くことが基本になります。
しかし、歯の表面にこびりついた歯石はセルフケアで取り除くことができません。
そこで、歯根面に付着した歯石を専用の機器で取り除く方法が「スケーリング」です。
スケーリングによって細菌が棲みつく場所がなくなれば、歯周病のリスクを低減させることができます。
歯周病の外科治療
歯周病が進行しており、基本治療では改善が見込めない場合は、外科治療が必要です。
ここでは、代表的な歯周病の外科治療を2つご紹介します。
歯周外科手術
中等度以上に進行した歯周病に対して行う外科処置が「歯周外科手術」です。
スケーリングなどの基本治療ではアプローチできないような奥深くにこびりついているプラークや歯石を、歯ぐきを切開することで取り除きます。
歯周組織再生療法
歯周病が進行すると、あごの骨や歯の靭帯の役割を果たす歯根膜などの歯周組織が溶かされてしまいます。
一度溶かされた組織は時間が経過しても元に戻ることはないため、歯周組織を再生させる「歯周組織再生療法」という治療が必要です。
具体的には、骨が溶けてしまった部分に特殊な人工膜を挿入することで、歯周組織の再生を促す「GTR法」、タンパク質の一種を歯根面に塗ることで、歯が生えてくるときと同じような環境をつくって歯周組織の再生を促す「エムドゲイン法」などがあります。
どの治療法が最適なのかは、口の中の状態によって異なるため、歯科医師と相談しましょう。
歯周病とかみ合わせの関係
歯周病治療の中で、噛み合わせの調整を行うこともあります。
その理由は、嚙み合わせが悪かったり、歯ぎしりや食いしばりで歯に強い力がかかっていたりすると、歯にダメージがかかり、歯周病の進行速度を早めるからです。
したがって、歯周病治療では歯や歯ぐきの状態だけでなく、噛み合わせのチェックをすることも大切だと考えらえています。
歯周病治療には毎日のケアが必要
歯周病が進行すると、歯の表面だけでなく、歯と歯の間の歯周ポケットの中にまで汚れが溜まってしまいます。
そして、歯周病の原因となる歯石は、柔らかい状態のプラークが歯に付着してから2日程度で完成すると言われており、歯周病の進行は想像以上に早いです。
しかし、一度歯周病になってしまうと、完全に治ることはありません。
したがって、自宅でのセルフケアと歯科医院でのプロケアを継続的に行って予防に努めることが、健康な歯を守るために必要だと言えます。
当院では、「予防」を診療の中心に据えており、歯の健康や美しさはもちろんのこと、食生活や生活習慣などを踏まえた総合的な歯科診療を行っています。
また、歯周病に影響を与える「歯ぎしり」の改善についても対応しています。
お口や歯の状態について不安なことがあれば、ぜひお気軽に当院までご相談ください。
医院紹介
【医院名】むらかみ歯科クリニック
患者さんのお口の健康のために、「予防」を中心に据えた診療を提供しています。
歯の問題だけではなく、患者さんの食事内容や食べ方、生活習慣に至るまでトータルでサポートしながら「従来の予防だけではない」診療を行っています。
【住所】広島県廿日市市廿日市1-6-39
【電話対応】0120-841-060(フリーダイヤル)
【診療時間】
月火木金:9:00~13:00/14:30~18:30
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【最寄り駅】JR山陽本線「廿日市駅」/広島電鉄宮島線「広電廿日市駅」