コラム
歯ぎしりが虫歯の原因に?メカニズムと予防法を解説
ご家族や知人から、歯ぎしりをしていると指摘されたことのある方も多いのではないでしょうか。
歯ぎしりは「ギリギリ」とした嫌な音が鳴るだけでなく、お口や身体全身にさまざまな影響を及ぼします。
そこで今回は、歯ぎしりのメカニズムと、歯に与える影響について解説します。
歯ぎしりのメカニズム
歯ぎしりは、舌の筋肉が低下することで寝ている間に無意識で行っています。
横になり喉の奥へ落ち込んでしまった舌は、気道を塞いでしまうことがあり、その結果として睡眠時無呼吸症候群のような状態が起こります。
呼吸が苦しくなっても舌の筋力が衰えているため持ち上がらず、気道から舌をどけようとする動きとして歯ぎしりが行われるのです。
左右にキリキリと動かしているように見えますが、実際には下顎を前に突き出すような動きをしています。
歯ぎしりが歯に与えるダメージ
虫歯・歯周病
歯の表面を覆っているエナメル質は、人体の中でもっとも硬くダイヤモンドと同じほどの硬さといわれています。
しかし、長年の歯ぎしりでエナメル質にヒビ(マイクロクラック)が入ると、すき間から細菌が侵入して虫歯ができてしまうのです。
また、歯ぎしりは歯を支えている顎の骨にも影響を及ぼし、歯周病を誘発したり悪化させたりする恐れもあります。
虫歯や歯周病は、汚れの蓄積によるもの以外にも、歯ぎしりによるダメージで引き起こされることもあるのです。
顎関節症
顎関節症の原因には、歯ぎしり、歯並び・噛み合わせの乱れ、生活習慣、ストレス、筋肉の緊張などがあります。
食事中の噛む力は数キロ~30キロ程度ですが、睡眠中に無意識で行われている歯ぎしりは50~100キロを超えるといわれています。
長年の歯ぎしりで顎の関節に負担がかかることで、「顎の関節が痛い」「口が開きにくい」「顎を動かすと関節が鳴る」など、顎の不調を感じるようになるのです。
睡眠障害
寝ている間にも歯ぎしりや食いしばりを行っていると、脳が休めず自律神経に影響を与えることがあります。
自律神経が乱れてしまうと身体がその異変を感じ取り、寝ている途中で目を覚ましたり、脳がしっかりと休めず睡眠の質を下げてしまうことにつながります。
睡眠の質が悪くなると、高血圧症や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や、各種がんにかかりやすくなるうえに、病気が進行しやすくなるため、注意が必要です。
歯ぎしりのセルフチェック
家族で暮らしている方は、寝ている間の歯ぎしりを指摘されたことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、一人暮らしをしている方は、そうはいかないかもしれません。
そんな方は、次のような項目に当てはまるものがないか、セルフチェックしてみましょう。
- 歯ぎしりをしていると家族に指摘された
- 歯にヒビのようなものが入っている
- 集中しているときに歯を噛みしめている
- 頬の内側や舌に歯型がついている
- 朝起きたときに顎がだるい感じがする
- 冷たいものを口に入れるとしみることがある
ひとつでも当てはまるものがあれば、歯ぎしりをしているかもしれません。
当てはまるものがなくても、知らぬ間に歯ぎしりをしている可能性もあるため、心配な方は歯科医院を受診して確認してもらいましょう。
歯ぎしりの予防方法
ナイトガード
もっとも一般的に行われる治療法は、ナイトガード(マウスピース)を用いた方法です。
ナイトガードは、寝ている間に装着して、歯ぎしりによる歯や歯ぐきへのダメージを軽減します。
無意識に行われているものを辞めるのは難しいため、歯ぎしりによるダメージを受け止めてもらいましょう。
噛み合わせの調整
噛み合わせは、年齢や虫歯・歯周病の治療などにより、変化していきます。
何らかのきっかけで噛み合わせが悪くなると、歯ぎしりが起こってしまうこともあるため、正しい噛み合わせへ調整する方法も有効です。
また、過去に行った虫歯の治療箇所が原因で噛み合わせの乱れを起こしていることもあるので、その場合は再治療が必要になることもあるでしょう。
ストレスを解消する
歯ぎしりの原因には、日常的なストレスによるものが原因であることも少なくありません。
現代社会ではストレスを感じないことの方が難しいため、できるだけ溜めないようこまめに解消するよう心がけましょう。
お気に入りのアロマや適度な運動、カラオケなど、解消方法は人それぞれです。
歯ぎしりを改善してお口の健康を守りましょう
歯ぎしりはストレスや噛み合わせの悪さなどが原因で起こり、その影響はお口だけでなく身体全体に及んでしまいます。
歯ぎしりによるダメージを軽減し、お口と身体の健康を守りましょう。
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